松本 邦史

ドクターインタビュー

松本 邦史

診療科について

歯科放射線科ではどういった診療をしていますか

お口やあご、お顔の周りのレントゲンやCTなどの画像検査と、その画像から病気を見つける画像診断を行っています。

実際の撮影は専門の診療放射線技師が担当し、撮影した画像を詳しく診断するのが私たち歯科放射線科医の役割です。また、放射線を使う検査では、患者さんの被ばくをできるだけ抑えつつ、正確な診断に欠かせない鮮明な写真を撮ることが大切です。そのために、技師としっかり協力しながら、院内のほぼすべての画像検査を支えています。

「何度もレントゲンを撮って大丈夫?」と不安に思う方もいらっしゃるかもしれません。私たちは主治医とも密に情報を共有し、不要な検査は避け、被ばくの少ない、診断に最も効果的な検査を提案しています。

歯科放射線科はどういった病気や患者さんを対象にしていますか

  • 基本的には、当院を受診されるほぼすべての患者さんが対象となります。虫歯や歯周病など、歯科の病気の多くは歯に関連しているため、治療前の検査として多くの方が当科を訪れます。それに加えて、歯以外の病気も広く対象にしています。例えば、あごの中にできた腫瘍や、お口の中のがん、あごの関節が痛む顎関節症などです。こうした病気に対しては、一般の歯科医院では難しい特殊な検査を行い、高度な専門的な視点から画像診断を行っています。


  • 歯科用コーンビームCTについて教えてください

    • 簡単に言うと、歯やあごの骨を立体的に、輪切りにして見るための検査です。

      通常のレントゲン撮影は、立体的な体を1枚の平らな写真に写します。例えば胸のレントゲンだと、背中側からエックス線を当てて、お腹側に置いたフィルムに写すため、心臓と背骨が重なってしまいます。これだと、もし病気があっても、お腹側にあるのか、背中側にあるのかが分かりませんね。一方、CTは体を輪切りにして見られるので、病気の正確な位置や大きさが一目で分かります。

      歯科用コーンビームCTも仕組みはほぼ同じですが、一般的な病院(医科)のCTに比べて、とても小さな病気を見つけるのが得意です。歯は他の臓器に比べて非常に小さいため、そういった特性を極めた検査です。その代わり、硬い歯や骨を見ることに特化したため、筋肉やリンパ腺などの柔らかい組織を映し出すのは苦手、という特徴もあります。

診療について

先生の最も得意とすることを教えてください

私たちは、画像から病気を見つけ出す専門家です。そのため、歯だけではなく、お口の中、あご、顔全体、さらには唾液を作る唾液腺や首のリンパ腺など、お口周りに関わるほぼすべての病気の画像診断を守備範囲としています。

最近の歯科・口腔外科では、レントゲンやCTだけでなく、病気によっては超音波(エコー)検査やMRI、PET検査なども行います。私はこうした最先端の検査機器にも幅広く精通しています。こういった機器や画像を利用し、得意分野である「顎関節の病気」や「お口の中のがん」の診断について、今後もさらに専門性を極めていきたいと考えています。

先生の歯科医師としてのモットーや心がけていることを教えてください

    • 画像診断のエキスパートとして、患者さんに最も優しく、最も効果的な検査と専門的な診断を提供することです。
      ただ機械的に診断するのではなく、「この検査は本当に今必要か」、「患者さんの被ばくを最小限に抑えられているか」を常に天秤にかけ、一人ひとりに最適な選択をすることを心がけています。

      また、歯科放射線科医として一人前になるには、長い年月と多くの経験が必要です。私がこれまで培ってきた診断のノウハウや被ばくに関する知識を後輩たちにしっかりと引き継ぎ、この素晴らしい専門職を未来へ向かって育てていくことも、私の大切な使命だと思っています。


  • 今の仕事のどういったところにやりがいを感じますか?

    • 大きく分けて3つあります。

      1つ目は、これまでの経験がすべて患者さんのために役立つこと。
      画像診断は知識だけでなく、どれだけ多くの画像を見てきたかという「経験」がとても重要です。「もっと早く見つけられたかもしれない」という日々の悔しさを糧に、次の診断でそれ以上の成果を出す。そうやって毎日成長できることにやりがいを感じます。

      2つ目は、当院に来院されるほぼすべての患者さんを、画像検査を通して支えられること。
      これは私が歯科放射線科を志した理由でもあり、今もこれが日々の診療のモチベーションになっています。


    • 3つ目は、技術の進化が非常にスピーディーな分野であること。
      今はAIを活用した画像処理や診断のサポートなど、10年前には考えられなかった技術が当たり前になっています。常に新しい医療技術に触れ、それを患者さんの診断に還元できることは、(歯科)放射線科の醍醐味だと思います。

経緯について

先生が歯科医師を志したきっかけを教えてください

高校時代にひどい歯痛に襲われたことがきっかけです。当時は今と違って、歯が痛くてたまらないのに「次の予約は2週間後です」と言われてしまうような時代でした。それなら、自分が歯科医師になって患者さんを助けよう、と思ったのが始まりです。あの時の痛みが、今の私の原点です。


専門分野の面白さについて教えてください

歯科放射線科は、まるで「謎解き」のような面白さがあります。パッと見では分からない影を、これまでの知識の引き出しや想像力をフルに働かせ、筋道を立ててロジカルに解き明かしていきます。

医療の世界には「診断のない治療はない」という言葉があります。私たちの診断こそが、すべての治療のスタートラインになります。さらに、治療がうまくいっているか、再発していないかを診断するためには、他の科のあらゆる治療法についても深く知っていなくてはなりません。毎日が勉強ですが、だからこそ飽きることがなく、本当に楽しい分野です。

まとめ

日本大学歯学部付属歯科病院の好きなところを教えてください

今の歯科医療で当たり前になっている2つの撮影方法(お顔の周りをぐるっと回ってあご全体を撮る「パノラマエックス線撮影」と「歯科用コーンビームCT」)は、当院の歯科放射線科の先輩方が開発したものです。そういった歴史的な発明が生まれるような、自由でクリエイティブな雰囲気がこの病院にはあります。

 

患者さんへのメッセージをお願いします

当院は各分野のプロフェッショナルが揃っています。皆さんのお口の中のトラブルや診療に不安を抱えているとき、私たち放射線科も含め、それぞれの専門家がチームを組んで全力でサポートします。このチームワークは、患者さんにとっても非常に心強いものだと思います。

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